集音器の種類を大まかに分けると、「ポケット型」「耳かけ型」「耳あな型」の3種類になります。
どの集音器を選ぶかは、それぞれのタイプの特性を知った上で、ご自分の好みや生活パターンと照らし合わせる必要がありそうです。ではそれぞれのタイプをメリット・デメリットともに解説していきます。
集音器の種類(1)耳かけ型のメリット・デメリット
耳の上から後ろにかけて、小さな本体を装着するタイプの耳かけ型集音器は、集音器市場のみならず、補聴器市場でも、もっともよく見かける「メジャータイプ」。そして、外見が一番気になるタイプとも言えますね。
耳かけ型集音器のメリット
- 耳あな型よりも本体が大きいので、操作や電池交換が比較的容易。
- 軽度難聴のみならず、高度(重度の一歩手前)レベルにも対応できるものがあるなど、性能的には比較的幅広い選択肢がある。
- 軽度向きのシンプルタイプであれば1万円以下の安価な機種もあるので、お財布事情が厳しい人でも選びやすい。
- 本体は耳にほぼ隠れるので目立たない。
- かつては、耳をほぼ完全にふさぐイヤープラグをつけるタイプのものが多かったが、近年では耳をふさがず、ある程度の解放感を出す「オープンフィッティング」式のものが出ている。
耳かけ型集音器のデメリット
- 耳の周りは汗をかきやすいので「汗による故障」のリスクがある。
- 風の音などを拾ってしまいやすい。
- 「本体が耳の上から後ろにかけてかかる」という形態なので、メガネをかけにくい。
- 動きが激しいと、ずれてしまいやすい。
- 近年主流のオープンフィッティング式は、低い音が外に抜けてしまいやすいので、軽度~中度程度にしか対応できない。
- 耳をほぼ完全にふさぐ従来のタイプは、音がこもってしまう。
- 機種によっては、今もハウリングが起こりやすいものもある。
- ポケット型と比べると機能が限られており、細かい調節もしにくい。
- ポケット型と比べると電池や充電の持ちが悪い。
耳かけ型集音器のまとめ
手軽で目立たず、機種の選択肢も多いが、ポケット型と比べると機能・性能・電池の持ちなどにおいては不利な面も多い
また、耳かけ型の集音器は、みみ太郎 SX-013 などごく一部を除き、試聴のための貸し出し制度がないものがほとんどなので、「購入は一発勝負」という怖さもあります。
集音器の種類(2)ポケット型のメリット・デメリット
3つのタイプの中で「古くから愛され続けているという歴史がある、集音器の元祖タイプ」と言えるのが、ポケット型です。
ポケット型とは、ポータブルラジオやポータブルオーディオプレーヤーの形に似たような箱型の本体に、イヤホンを接続するというタイプのものです。
ポケット型集音器のメリット
- 耳かけ式や耳あな式と比べて、性能や機能が充実しているものが多い。
- 出力レベルも大きく、中度~重度の難聴でも対応可能な機種も多い。
- 同程度の機能で比較すると、耳かけ式や耳あな式よりも安価で買える。
- 本体を手にもって操作・調整できるので利便性がよく、初心者でも使いやすい。
- 電池の持ちがいい。
- 本体が大きいので紛失のリスクが少ない。
- ハウリング音が出にくい。
ポケット型集音器のデメリット
- 移動時は、本体をポケット等に入れるか、首から吊るすか、手で持つか、など、何らかの手段で本体ごと持ち運ばなければならない。
- イヤホンコードがジャマになると感じることが多い。
- コードをひっかけたりすることで、切れてしまったりするリスクがある。
- 本体にマイクがついているタイプの集音器の場合、本体を入れるポケット等の状況によっては、「衣ずれ」の音が気になるケースがある。
まとめ
機能性や利便性・さらに価格においては他のタイプよりもすぐれていると言えるが、本体の持ち運びや、コードの長さに不便を感じる人もいる
たとえば、「手がコードに引っかかって仕事のジャマになる」「ポケットの上から何かモノが当たるなど強い衝撃を受けて本体が壊れてしまう」などというリスクが出てきますので、手足・体を激しく動かす仕事やスポーツをする方だとポケット型集音器は適さないと言えるかもしれません。
しかし、「本体を持ち運びしなければいけない」という点さえ割り切れれば、「自宅で過ごすことが多い」「外出時もドライブ・サイクリング・歩行ぐらいで、激しい動きはしない」「仕事はほぼデスクワーク」などという人であれば、ポケット型が一番便利で快適に使えると言えるのではないでしょうか。
特に、自宅でじっと過ごしている時間などは、テーブルや床の上に本体を置いて聞けばいいわけですから、このシチュエーションでは、ポケット型がもっとも気楽に使えますね。
集音器の種類(3)耳あな型のメリット・デメリット
耳の穴に本体ごとすっぽりおさまる、という、もっとも小さなタイプと言えるのが耳あな型集音器です。
耳あな型集音器のメリット
- 他のどのタイプよりも小型でジャマにならない。
- 目立ちにくい。
- 耳かけ型と違って、汗の影響を受けにくい。
- 耳介の集音機能を生かすことができる。
- 鼓膜に近い部分で集音できる。
- メガネをかける人にとってもジャマにならない。
耳あな型集音器のデメリット
- 本体が小さすぎるので、機能・性能はどうしてもシンプルになる。高度~重度レベルには不向き。
- 高齢者にとっては「スイッチやダイヤル等が小さすぎて見えない、使いづらい」と感じることも多い。
- 電池や充電の持ちは、よくても耳かけ型と同等。耳かけ型よりも持ちが悪いものも多い。
- 小さい分、紛失のリスクが高い。
- 耳の穴にフィットしないと、ハウリングが起こりやすい。
- 耳あかが詰まることで故障する、というリスクが意外と高い。
耳あな型集音器のまとめ
もっとも小型なタイプである分、目立たずジャマにならないメリットは大きいが、機能・性能・操作性などにおいては、耳かけ式よりさらに不利となりやすい
また、耳あな型集音器も、耳かけ型と同様、試聴のための貸し出しをおこなっているところはほとんどありません。
しかも耳あな型の場合、安い機種であっても「激安の耳かけ式よりは高い」という状況ですので、「合わない時はあきらめる」という覚悟で激安機種を買うという手も使いにくいでしょう。